探偵の仕事
探偵には法律上特別の権限が認められているわけではない。探偵であっても民間人の持ちうる権利の範囲内で業務を行わなければならず、身体に危険が及ぶ可能性のあると思っても、アメリカの探偵に代表されるような拳銃など武器の携帯も認められていない。一般人と同じく、正当防衛・緊急避難が法的に許されているだけである。
また、小説・ドラマなどでは警察、国税局などの捜査・調査機関と合同で犯罪捜査をするような描写が多く見られるが、これは日本においては極めて稀なことである。これらの行政機関は法令に基づいて組織的な捜査・調査をすることとなっており、法的権限を持たない探偵が「探偵として」事件捜査に公的に参加・協力することは法的に想定されておらず、またそのような要請がなされることもまずない。従来日本においては、探偵業は弁護士のような国家資格でも警備業のような認定制のある職業でもなかった。
日本では探偵業についての法的な位置付けが不明確であるとともに、他の多くの業界でも見られたように、心ない一部の業者がその業務に際して事件を起こしたり、依頼者との間でトラブルが発生することも見受けられた。さらに高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大し、個人の権利利益を保護する目的で個人情報保護法も成立施行された。(平成21年9月1日から個人情報保護法は消費者庁へ移管) このため、消費者保護の観点から個人情報の収集を業とする探偵業を規制する法律が必要となり、「探偵業の業務の適正化に関する法律」(探偵業法)が制定され、2007年6月から施行されることとなった。
探偵業法において、探偵業務は、「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」と定義されており(探偵業法2条)、探偵業の開業には公安委員会への届出が必要となる(同4条)。過去5年以内に暴力団員であった場合、禁錮以上の刑に処せられ刑の執行から5年経過していない場合、破産者や後見人がついている場合などは開業できない(同3条)。但し、法人の場合にはオーナーや実質的な経営者を公安委員会へは社員として申請し、法人の役員から形式的に外すことで開業が可能であり、この点からは個人経営の方が抜け道が無く信頼度が高くなるという現象が起こっている。
また、依頼者との契約手続き面でも依頼者に対する重要事項の説明義務や、合意した契約内容を書面で交付する義務や守秘義務が課されている(同8条、10条)。
このように探偵業の法制化により、その業務範囲と内容が明確化されるたことから、法令に基づいた各探偵業者の事業運営と健全な業者の育成が期待されている。
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